短期 AtCoder Heuristic Contest(AHC)における生成AIの利用ルールを変更します。
## これまでのルール
これまでAHCでは、生成AIの利用を比較的広く認める一方で、プログラムの実行結果やスコアなどに基づいて生成AIによる改善を行い、それを自動で繰り返すなど、自動化的な利用を禁止していました。
これは、生成AIを参加者の発想や実装を補助するツールとして利用することは認めつつ、生成AIによる大量の試行錯誤を自動化することはAHCの競技性を大きく損なうと考えていたためです。
## 変更の背景
最近の生成AIは急速に性能が向上しており、問題文を与えるだけで、解法の考案やコード生成、結果を踏まえた改善など、AHCに必要な幅広い作業を高い水準で行えるようになっています。
AHCでは、問題を考察し、仮説を立て、実装と実験を繰り返しながら解法を改善していく過程が、競技の大きな魅力です。生成AIの発想力や試行錯誤力が飛躍的に向上したことで、従来のルールでは、参加者自身の考察や試行錯誤が成績に与える影響を十分に保つことが難しくなってきました。
また、高額なAIプランほど、より高性能なモデルや長時間の推論、多数の試行などを利用できる場合があり、生成AIに支払える金額によって競技上の差が生じることも懸念しています。
以上を踏まえ、短期AHCでは、開催中の生成AIの利用を原則禁止することにしました。
## 新しいルールの要点
開催中の短期AHCにおいて、生成AIの使用を原則禁止します。
例外として、主に以下の利用を許可します。
* 指定されたプロンプトを用いた問題文の翻訳
* 指定されたプロンプトを用いた、コンテストで配布されるツールのプログラミング言語変換
* 以下の指定されたコード補完機能
* GitHub Copilot の Code Completion および Next Edit Suggestions
* Cursor の Tab
* JetBrains AI Assistant の Code Completion および Next Edit Suggestions
一方、対話型生成AIを用いた問題理解、解法やアルゴリズムの検討、コードの作成・修正、デバッグ、テスト、実行結果やスコアの分析、改善案の検討などは禁止します。
詳細については、以下のルールを確認してください。
[短期 AtCoder Heuristic Contest 生成AI利用ルール - 20260818版](https://info.atcoder.jp/entry/short-ahc-llm-rules-ja)
## ABC・ARC・AGCなどのアルゴリズムコンテストとの違い
ABC、ARC、AGCなどのアルゴリズムコンテストでも、開催中の生成AIの利用は原則禁止されています。
短期AHCの新ルールも基本的には同様ですが、主な違いとして、**指定されたコード補完機能については短期AHCでは利用を許可します。**
コード補完機能では、コメントが実質的にプロンプトとして機能し、コードが生成される場合があります。そのため、ABC、ARC、AGCではコード補完機能についても禁止しています。
一方、AHCでは解答コードが長くなりやすく、コード補完機能まで制限すると参加者の実装負担が大きくなりすぎると判断しました。
また、現在のコード補完機能は、編集中のコードやコメントに対して即座に補完候補を返すものであり、ChatGPTなどの対話型生成AIのように、問題に対して時間をかけて方針を検討したり、深く推論したりするものではありません。
そのため、現時点では、指定したコード補完機能についてはAHCにおける発想や試行錯誤を大きく代替するものではなく、競技性への影響も限定的であると判断し、例外として利用を許可します。
## 適用時期
新しいルールは、2026年8月29日開催の [第13回 Asprova プログラミングコンテスト (AHC 070)](https://atcoder.jp/contests/ahc070) から適用します。
## 長期AHCについて
今回のルール変更は、短期AHCのみを対象とします。
長期AHCについては、今後、生成AIを利用しない **Human Only 部門** と、生成AIの利用を前提とする **With AI 部門** に分けることを予定しています。
部門分けにはシステム改修が必要となるため、開始時期については改めて告知します。
また、それぞれの部門における生成AI利用ルールについても、短期AHCとは別に定める予定です。
## 今後のルールについて
生成AIや開発環境は今後も大きく変化していくと考えています。
特に今後は、プログラミングにおいて生成AIを利用せずに長いコードを書く機会そのものが減っていくと予想しています。そのため、生成AIの能力が向上するたびに、利用可能な機能を減らすなど、ルールをより厳しくしていくことが長期的に望ましいとは考えていません。
将来的には、生成AIがより安価に利用できるようになったタイミングで、AtCoderからクレジット上限付きの公式AIを提供し、コンテスト中はそのAIのみ利用可能とするルールへの変更を検討しています。
この方式であれば、参加者ごとの生成AIへのアクセス環境や課金額による差を抑えながら、生成AIを利用すること自体を競技の一部として取り入れることができます。
このようなルールへの移行は、短期AHC・長期AHCの双方について検討しています。
生成AIの性能、価格、普及状況や、実際のコンテストへの影響を見ながら、今後もルールを見直していく予定です。