C - Catastrophic Roulette Editorial by maspy
概要
公式解説では,ゲームの開始時点からある時点までの情報を \(4\) 変数で表すことで dp をしていました.
ある時点からゲームの終状態までの情報を考えると, \(2\) 変数での dp の立式ができます.また,適切に立式すれば,無限和の類を考えずに解くことができます(この手の期待値の計算で頻出のテクニックです).
解法
まだ出ていない数の種類が \(n\) である状態(以下「状態 \(n\)」)で先手番から始めたときの,先手番の罰金期待値を \(F_n\),後手番の罰金期待値を \(S_n\) とします.
\(p = n/N\), \(q=1-p\) とします(それぞれ未出の数・既出の数が出る確率です).
この状態での先手番は,
- はじめに未出の数が出たら,次からは状態 \(n-1\) での後手番をプレイするとみなせる.
- はじめに既出の数が出たら,罰金 \(1\) を払ったあと,次からは状態 \(n\) での後手番をプレイすると見なせる.
ことから,\(F_n = pS_{n-1}+q(1+S_n)\) という立式ができます.同様に,\(S_n = pF_{n-1} + qF_n\) という立式ができます.
\(F_{n-1}, S_{n-1}\) を既知とすれば,これら \(2\) つの式は \(F_n, S_n\) を未知数とする連立 \(1\) 次方程式となり,これを解くことで \(F_n, S_n\) が計算できます.\(n=0\) の場合に \(F_n=S_n=0\) であるところからはじめて \(n=1, 2, \ldots, N\) の順に計算していけばよいです.
\(1-q^2\) による除算があり,この解答例の時間計算量は \(O(N\log(\mathrm{mod}))\) です.なお,\(1-q^2=\frac{n(2N-n)}{N^2}\) 等から \(2N\) 以下の整数による除算だけが必要なので,時間計算量を \(O(N)\) にすることも可能です.
参考
漸化式は \(n\) に関する多項式行列 \(M(n)\) をかけるという形で表せるので,\(\{F_n\}\) や \(\{S_n\}\) の計算は行列積 \(M(1)\cdots M(N)\) の計算という形の問題に帰着できます.このような計算は \(O(\sqrt{N}\log N)\) 時間で行えることが知られており,本問の \(F_N, S_N\) を含む P-recursive な数列の第 \(N\) 項の計算に使うことができます.
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