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D - Everywhere is Sparser than Whole (Construction) Editorial by ygussany


\(N\) 頂点の単純無向グラフは辺を高々 \(\displaystyle\frac{N(N-1)}{2}\) 本しか持てないので,\(D > \displaystyle\frac{N-1}{2}\) のとき答えは No です. 逆に,\(D \le \displaystyle\frac{N-1}{2}\) のとき答えは Yes です. たとえば,各 \(i = 1, 2, \dots, N\) と各 \(k = 1, 2, \dots, D\) について,頂点 \(i\) と頂点 \((i + k)\)(ただし \(i + k > N\) のときは頂点 \((i + k - N)\) )を結ぶ辺を張れば,条件を満たす単純無向グラフとなっています.

実装例 (C, 18 ms)

単純性

単純でない,すなわち自己ループまたは平行辺があると仮定して矛盾を導きます. このとき,ある \(i_1, i_2 \in \{1, 2, \dots, N\}\)\(k_1, k_2 \in \{1, 2, \dots, D\}\) が存在して

\[i_1 + k_1 \equiv i_2, \quad i_2 + k_2 \equiv i_1 \quad (\mathrm{mod} ~N)\]

が成り立ちます.(自己ループの場合は \(i_1 = i_2\) であり,平行辺の場合は \(i_1 \neq i_2\) です.) 両辺を足して整理すると,

\[k_1 + k_2 \equiv 0 \quad (\mathrm{mod}~N)\]

が得られますが,これは

\[2 = 1 + 1 \le k_1 + k_2 \le D + D \le N - 1\]

と矛盾します.

誘導部分グラフの疎性

構成したグラフを \(G\) とし,各 \(k = 1, 2, \dots, D\) に対して,「頂点 \(i = 1, 2, \dots, N\) と頂点 \((i + k)\)(または頂点 \((i + k - N)\) )を結ぶ辺のみを張って得られる \(G\) の部分グラフ」を \(G_k\) とします. \(G_k \ (k = 1, 2, \dots, D)\) は辺を共有せず,\(G\) はそれらの足し合わせで得られるので,任意の頂点部分集合 \(X\) について,\(X\) による \(G\) の誘導部分グラフの密度は,\(X\) による \(G_k\) の誘導部分グラフの密度の \(k\) に関する総和に等しいです.

任意の \(k\) について,\(G_k\) における各頂点の次数はちょうど \(2\) であり,そのようなグラフの各連結成分は閉路となります. このとき,任意の空でない頂点真部分集合 \(X\) について,\(X\) による \(G_k\) の誘導部分グラフの各連結成分は閉路または木であり,いずれに対しても \((頂点数) \ge (辺数)\) が成り立つため,その密度は \(1\) 以下です.

さらに,\(G_1\) は必ずハミルトン閉路(全頂点が連結な閉路)となります. したがって,任意の空でない頂点真部分集合 \(X\) について,\(X\) による \(G_1\) の誘導部分グラフは閉路を含まず,\((頂点数) > (辺数)\) が成り立つため,その密度は \(1\) 未満です.

以上より,任意の空でない頂点真部分集合 \(X\) について,\(X\) による \(G\) の誘導部分グラフの密度が \(D\) 未満であることが示せました.

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